福島県田村地域における2015年~2016年インフルエンザ発生報告のまとめ

田村地域インフルエンザ情報ネットワーク
責任者:石塚尋朗

図1

図2田村地域の人口
田村市が58%、三春町が25.8%、小野町が15.8%を占めている。
ざっくり言って、田村市60%、三春町25%、小野町15%

図3本年度のインフルエンザ発生報告数はやや例年よりは少なく、3,299名であった。
市町村別でその発生数をみると、田村市では例年規模で、三春町で少なく小野町でやや多かった。
田村地域の人口構成からみると、小野町での発生が多かった(田村市:56.8%、三春町:22.5%、小野町:20.6%)。

図4各市町村でその発生報告の割合をみると、小野町>田村市>三春町の順で、小野町と三春町の差が顕著であった。

図50~15才児でその割合をみてみると、三春町と小野町の差が顕著であることがわかる。

図616才以上でもやはり小野町で多かったが、0~15才児のそれに比べるとそれほど顕著でもない。

図7次に0~15才児でA型、B型の発生割合をみてみると、三春町でA型に比べてB型の発生報告数が少なかったことがわかる。

図8一方、16歳以上では三市町村で同様の発生報告割合であった。
(田村市でA型の割合が多いが)

図9国立感染症研究所からの週別発生報告数のまとめ(第1週から示してある)。赤丸太実線が本年度の流行パターンである。

図10田村地域の本年度の報告の週別集計のまとめ。
全国集計では第6週にピークがきていたが、田村地域では第7週であり、1週間のずれがあったが、ほぼ同時期に流行のピークを迎えていたことがわかる。

図11型別で週別発生をみると、A型の発生に遅れてB型の流行が始まり長期間続いたことがわかる。

図12A型、B型の発生をまとめると黒実線のようになる。本年度は約25週間にわたる発生であった。(第3週から13週にかけて2峰性のピークをもった流行だった)

図132009年の豚インフルエンザに始まり、本年度まで7期のインフルエンザ週別発生報告数をまとめて比較すると、本年度のピークはやや時期が遅れ、流行後半は2013~2014年度にやや類似したパターンを示した。

図14再度全国の報告パターンをみてみると、流行期は第7週をピークとした第1~19週の幅広い一峰性のピークで、田村地域で第9週~12週までの減少期が入った2峰性ピークをもった流行とは異なっている。

図17本年度のインフルエンザ(A型、B型を含めて)の発生報告を男女別にみてみると、三市町でほぼ同数の発生を認めました。

図18A型、B型を含めたインフルエンザ発生報告がワクチン接種の有無で異なるかどうかみてみると、いずれの市町村でもワクチン未接種者からの報告数が多かった。但し、ワクチン未接種者と接種済者の割合がわからないので、接種の有無によりインフルエンザ発生に差異がでたのかどうかはわからない。

図19報告者をワクチン接種の有無の申告でわけると円グラフのようになる。三市町で差異はなかったと思われる。

図21A型インフルエンザの男女別発生報告数。三市町で男女に差は認めていない。

図22やはりワクチン未接種群からの発生報告数が多いが、先にも述べたように母集団の数がわからないので、接種の有無で発生に差異がでたのかどうかはわからない。

図23三春町でワクチン接種済者からの発生が多いようだったが、有意差があるかどうかはわからない。

図25B型インフルエンザワクチンの男女別発生者数。三春町と小野町で男女差がありますが、何を意味するかはわかりません。

図26A型と同様に、B型もワクチン未接種者からの報告が多い。

図27B型でもワクチン未接種者、接種済者からの発生割合はA型とほぼ同様であった。

図29三春町、小野町では15歳までの子供にインフルエンザワクチン接種の補助を出しており、接種者数の把握ができているので、それぞれの群からの発生率を検討してみた。まず、15歳までのA型、B型発生報告数をみてみると、
1.A型がB型に比べ多くの報告数があった。
2.三春町は小野町に比べてA型、B型とも発生報告の割合が低かった。
3.三春町では13~15歳の群がとくに少ないようにみえる。

図30全体的に発生報告数はA型、B型とも小野町に比べ少なかった。ワクチン接種の有無で見ると、接種(-)で発生報告の割合いが高かった。13~15歳群のB型発生の割合はワクチン接種の有無と関係がないように思えた。

図311~12歳ではワクチン接種の有無からみるとA型、B型ともワクチン接種(-)で多数発生しているようだが、13~15歳でみるとその傾向は逆転している。

図33田村全域のA型発生を年代別にみてみると、小学生での発生が多かったが、19歳以上の群での発生数が18歳以下の群の発生数を上回っていた。

図34田村市でも同様であった。

図35三春町でも同様

図36小野町でも同様であった。これらの19歳以上の群で多いということとワクチン接種の有無との関係性についてはさだかではない。

図37B型はやはり小学生での発生数が多く、18歳で分けて考えると、A型とは逆に19歳以上の群での報告数が18歳以下の群を下回っていた。

図38田村市でみても同様の結果であった。

図39三春町では19歳以上の群が多かった。三春町では学校での集団発生が少なかったことが関係しているのかもしれない。

図40小野町では田村市と同様であった。小学生での報告数があきらかに多いことがわかる。