会長ごあいさつ

一般社団法人田村医師会  会長 石塚尋朗
一般社団法人田村医師会 
会長 石塚尋朗

ご挨拶を申し上げます。
本日、田村医師会の会長職を拝命し、役員一同とともに、田村医師会の進むべき最善の道を模索し、地域の人々の健康と福利のために活動していく決意を新たにいたします。
ご存じのように、現在田村医師会管区には、この度の大震災で被災された方々が多数避難所に滞在されておられます。
また、この地域の住民の中にも、不安定な原発の成り行きに不安を覚え、県の内外に避難された方が多くおられます。
大震災によって多くの方々の生命が突然奪われ、生き残った方々はすべてを失って着の身着のままでの避難所での生活を強いられています。
医師会としての医療の支援も、巡回診療室の開設、医薬品の調達、寄贈という形で続行されておりますが、家族や親しい人々を失い、家や職場を失い、これまで住んでいた場所から遠く離れた土地の避難所で過ごされている方々のこれからを考えるときに、医療面の支えを充実させることとともに、原点にもどり人間として支え合う姿勢が求められていると感じます。
また、この地域は、他の被災地と異なり、迅速な復興にむけ、わき目も振らず邁進するということができない状況下にあります。
不安定な原発情報の報道は、県外や首都圏の人々にとっては遠い世界のことかもしれませんが、原発の報道におびえた不適切な自治体の防災無線放送などによって、銀行や大手スーパーマーケットが突然に撤退、輸送が滞り、ガソリンや食品の不足を経験し、また、避難した職員のために一時的にせよ医療機関としての機能を失った日々がまだ記憶に新しい地域の医師会としては、今後、地域の人々を自らの判断で守っていかなければならないことを、今実感しております。
右記のような状況下で、突然子どもたちに県の内外に避難させられた高齢の患者さんたちの健康状態を思い、心配されておられる会員も多いと考えられます。
今後、生産の基盤を失った製造業はもとより、本県の農業・漁業の風評被害が長く人々を苦しめ生活を脅かすことは想像に難くありません。
これまで長い平和の時代に築かれていた地域の住民のつながりや活動が突然失われて、今、ある意味で新しい時代が始まろうとしているのだと思います。
そういう意味で、医師会という集団の存在意義がこれほど明確になる時がいまだかつてあったでしょうか。
田村医師会の今後の活動を決定するにあたり、私は会員に正確な情報を伝達し、ひろく会員の意見を求め、そのうえでビジョンを示し、会員が地域の人々のためにそれぞれの場所で充分な力を発揮できる環境を整備していきたいと考えます。会員が医師としての使命を果たせる医師会を今後も維持し、ますます地域のために大きな役割を果たしていくべく邁進いたします。
困難な時期ですが、今後の田村医師会の活動に、より一層のご理解と支援を賜りますようお願いいたします。

平成23年4月1日
一般社団法人田村医師会 会長 石塚尋朗