田村医師会長から住民の皆様へ 第七波の収束のために

新型コロナウィルス感染症の感染拡大第七波は、これまでの感染拡大期とは全く規模の異なる深刻な様相を呈しています。田村市・三春町・小野町からなるこの田村地方でも、連日多くの感染者が報告されております。
なかでも家族感染(同居家族内の感染)が多数発生しています。同居している家族の中で陽性者が出た場合、高い確率で他の家族も発症しています。
これにはいくつかの理由が考えられますが、第一に、家の中では多くの人がマスクをせずに会話をしながら食事を共にして、コロナ前と同じように生活していることが一番の原因にあげられると思います。
学校や職場で黙食を実行していても、家庭内で黙食をしていることは、ほとんどといってないように思います。黙食をして、食後すぐにマスクをかけてから会話するといった感染を防ぐ行動を厳密に守っている方はほとんどいないといってもよいでしょう。

緊張を強いられる外の世界から戻って、やっとリラックスして家族とともに食事することが唯一の楽しみとなっているということもあるでしょう。
黙食をする・一人分ずつ小皿に分けた料理を食べる・食後のマスク着用・長時間の密を避けるなどの行動は、特に幼いお子さんをもつ家族内では、不可能といっても過言ではないと思います。

加えて今年の異常な暑さがあります。冷房の効いた室内で快適に過ごしているということは、定期的な換気によって外気を室内に取り込みコロナウィルスが潜んでいるかもしれない室内の空気を排出する予防行動がおろそかにされているということです。一人でも感染した家族がいれば、家族全員がコロナウィルスの含まれた空気を長時間吸い続けるということになります。
このような状況下で家族内感染が増え続けているのだと推測します。

今、この社会で新型コロナウィルスが急速に拡散していますが、この感染の連鎖をどこかで断ち切らなければコロナは収束しません。
毎日の就労やその他の社会活動が人と人との接触の機会を生み出し、感染がひろまります。

例えばこのようなことです。

はじめに、社会という外界からお父さん・お母さんが知らずに持ち込んだコロナウィルスにお子さんたちがさらされ感染する
⇒症状が出ないまま通園・通学したお子さんたちが保育施設や学校で感染を広める
⇒保育施設や学校でコロナウィルスに感染したお子さんたちが家にコロナウィルスを持ち帰る
⇒お子さんたちからお父さん・お母さんが感染する
⇒症状が出ないうちに出勤した職場で同僚が感染する
⇒感染したことに気づかず、帰宅して家族や子供たちに感染させる
⇒またもや無症状のお子さんや親世代がそれぞれの社会生活の場でコロナウィルスを拡散する
⇒以下繰り返し

この過程で感染者が増え続けています。
それでは、どうやってこの連鎖を断ち切ればよいのでしょうか。以下に記します。

①常時、自分が感染しているかもしれないと考えて行動すること
②すこしでもコロナ疑いの症状がでたら、すぐに最寄りの機関(医療機関・相談センター)に相談すること

①について
このように考えてください。
【もしも自分が明日コロナ陽性といわれても、今の時点で万全の予防行動をとっていれば、家族にも職場の同僚にも感染させていないと安心できる】
具体的には、以下のようなことをしないでください

A マスクを着用せず相手と近い距離で長時間会話をする
B 大勢で料理を前に大声でしゃべり、その料理を皆で食べる
C アルコール飲料(その他の飲み物も)を回し飲みする
D 行事や出張の宿泊先で、換気の良くない場所で多人数が寝起きする

上記は「コロナウィルスに感染する」・「コロナウィルスを感染させる」危険のある行動ですから、この時期には特に避けていただきたい行動です。そしてもっと避けてほしいのは以下の行動です。

E 発熱・咽頭痛・咳などのコロナを疑う症状がでているときに通勤・通学する、会合・買い物などで周辺に人がいる場所に行く

②について
現在のようなコロナ下では、ほとんどの方は症状がでると医療機関やコロナの相談センターに連絡しておられますが、なかには、職場に陽性者が出て自分にも症状が出ているにも関わらず、そのまま放置して通常通り出勤・生活している方もいるようです。

感染経路不明者、つまり市中感染例が増加している今のような状況下では、何らかの症状が出た場合には迅速に最寄りの医療機関に連絡をお願いしたいと考えます。まして、職場の同僚が陽性と判明して、自分にも症状がでたときには、自分を守るとともに家族や周囲の人々を守るためにも、感染の有無をはっきりさせて、これ以上感染を拡大させないための最善の行動をとってください。

最後に

私たち一人一人がコロナをよく知り、正しく行動することが、コロナウィルスとの戦いに勝利する唯一の方法であることは間違いありません。
コロナとの長い戦いに少し飽きて油断が出たころに、第七波が猛威をふるい始めました。このままでは社会生活の様々な分野でますます深刻な影響がでてきます。
どうか油断せずに地域全体で正しい予防行動を強化していきましょう。
自分や家族を守ることは社会を守ること・社会を守ることは自分と家族を守ることです。
皆様のご協力をお願いいたします。